サガミオリジナルの歴史

1964年 ポリウレタン製コンドームの始まり

東京オリンピックで盛り上がる1964年、ある製薬メーカーから相模ゴム工業に一点の打診がありました。「医者が手術用に使う手袋をポリウレタンで作れないか」との内容でした。

開発を進める中で、ポリウレタンの強度の高さから、「この技術をコンドームへ転用できないか」との声が、ある研究者からあがりました。その案は採用され、翌1965年、正式にポリウレタンメーカーと共同研究を開始することとなりました。それまで天然ゴムが当たり前だったコンドーム業界において、この発想は画期的でした。その後、専用工場を建設、製造設備の開発に着手、製造方法の特許取得と続き、1977年には試験生産を開始したのですが、量産化への設備投資が非常に高額になるとの予測や、エイズ騒動・人口増加によりコンドームの需要が高まり、ゴム製のコンドームの量産化に開発がシフトしていったことから1984~90年の間、プロジェクトを一時凍結することとなりました。

1991年 サガミオリジナル生産開発へ

1991年、一度は凍結されたプロジェクトに私たちはもう一度光を当てることとなりました。

新たにこの研究の開発部門を編成、再開発に着手。翌92年から再度研究が始まり、1994年、遂に製造技術を確立することに成功したのです。プロジェクト発案から約30年目にしての成果でした。1996年、常務会によってこのプロジェクトへの投資が決定し、マレーシアのイポー市に生産工場の建設が開始され、翌年5月、工場建設が無事終了。サガミオリジナルの生産を開始することとなりました。

1998年 サガミオリジナル発売開始から全品回収へ

そして1998年2月16日、「ゴムじゃないコンドーム」サガミオリジナルが全国発売となりました。このコンドームは、好況な売れ行きを見せ、発売期間2週間にも関わらず、2月のコンドームランキングの1・2・4・5位にランクインし、上位独占という快挙を成し遂げたのでした。

しかし、サガミオリジナルの好調な売れ行きは長くは続きませんでした。発売開始から50日あまりがたった4月8日、工場の未出荷品の中から微細な穴が見つかったのです。そして4月9日、私たちは全品回収の決断をし、テレビでの記者会見を行いました。そして工場設備と検査体制を一から見直し、再発売に向けて準備を始めることとなったのです。
「これだけお客様に受け入れられた製品だから、一度生産ラインを確認しよう」という判断でした。全品回収時を振り返り、当時の担当者はこうコメントしています。

「当時は社員を総動員して、電話応対や返品応対、返金や行政への説明など、みんな走り回っていましたね。2週間、朝から晩まで電話が鳴り止まない日々が続き、何かを考える暇さえありませんでした。ただ、今後どうするのか、『原因は何なのかを調べ、対策を打ち立てる』という道筋は見えていたので、ここが正念場だと思い、乗り切ることができました。」

1998年 再発売へむけて

全品回収後、原因究明が私たちの急務となりました。何度も生産設備、検査体制を見直した結果、私たちは「瞬間停電」が原因だったことを突き止めます。「瞬間停電」とは一瞬工場内の電気の供給が止まってしまうことを指します。

ある日マレーシアの工場でスコールが降り、雷が落ちました。その際、工場内の電力の供給が一瞬止まってしまったのです。ピンホール検査中にその瞬間停電が起こったため、微細な穴が開いたコンドームは全品検査をすり抜けてしまったのでした。

原因が解明されてから、私たちは工場内に無停電電源装置を設け、瞬間停電に対応した設備を設置しました。また生産機器トラブル対応マニュアルの全面改訂、全品ダブルチェック採用、イギリス王室直属の第三者機関での品質検査の実施など、再発売に向けて準備を整えていきました。そして、自主回収から678日。
2000年2月16日。サガミオリジナルを再び発売することとなったのです。

2000年 再発売の反響

再発売に向けて、私たちは発売日の約二ヶ月前に新聞広告を掲載しました。お客様に対し、全品回収の原因と対応策を公表するためでした。
全品ダブルチェックの検査体制など、どのような体制で安全性を担保しているのかアピールすることで、お客様に安心感を持ってもらえるよう努力をしました。例えば日経新聞一面広告にて、再発売に向けて相模ゴム工業が行ってきたことを掲載。誠実な企業体制が評価され、この広告はその年の「日経広告賞」を受賞しています。

サガミオリジナルは、一度は大ヒットを記録した商品だったため、流通業者や小売業者から高い期待を寄せられていました。幸いにも再度お客様にも受け入れられ、再発売後、サガミオリジナルは再びNO.1の地位に返り咲いたのでした。

2005年 サガミオリジナル0.02発売開始

2005年2月にはコンドーム業界では世界初の20ミクロン台のコンドーム、サガミオリジナル0.02が発売開始となり、発売後1ヶ月で売り上げ箱数NO.1を獲得しました。その後もあくなき研究を続け、2011年には24ミクロンを実現、サガミオリジナルをより薄くしていくことに成功しました。他のコンドームにはない薄さを実現するごとに売り上げ箱数も順調に伸び、NO.1コンドームとしての地位を確固たるものにしました。

2013年 サガミオリジナル0.01発売開始

「薄さ」に対する消費者の方々の大きなニーズを感じた私たちは、更に「薄さ」を追及する研究を続けました。
そして遂に2013年11月、コンドーム史上初の0.01ミリ台の皮膜を実現した「サガミオリジナル0.01」を完成させました。
当初東京エリア限定で販売を行ったところ予想を大きく上回る売り上げがあり、2014年5月末で一度販売を休止していましたが、2014年9月、「サガミオリジナル0.01」を全国販売いたしました。世界最薄の使用感をぜひご体感ください。

2022年 サガミオリジナル0.01 Lサイズ発売開始

サガミオリジナル0.01 Lサイズ

サガミオリジナル0.01は、2014年9月の全国発売以降、サガミオリジナルブランドで最高の売り上げを記録、一時出荷数を制限させていただく事態となりました。
その後、日本だけではなく世界各国からも反響をいただき、レギュラーサイズだけではなく、0.01㎜のLサイズを作ってほしいというご要望を多数いただいていたため、2018年よりLサイズの開発に着手、増産体制を整えて2022年9月、ついにサガミオリジナル0.01Lサイズを発売しました。